境界人の孤独
境界人……マージナルマンはもともと「大人にもなれない、だが子どもでもない」状態を指す語らしいが、ここでは違う意味で使用する。
ある組織に所属しながら、その境界に立つものは孤独になる。
群れには、いくつかの視点が必要だ。外を見る者、内の仕事を算段するもの、上を見るもの、そして、内部にいながらソトの視点を持ち、変革をもたらすもの。境界線を生きるもの。
完璧に「内」の者からすれば、境界線を生きるものは脅威でしかない。境界を超えることに、ヒトは本能的に恐怖し、また嫌悪感を抱く。
組織はあるときから、その目的を忘れ、組織の存続自体が目的となる。つまり、完全に「内」に漬かってしまった方が居心地はよくなる。
わたしは、つねに境界人だった。
何処の組織でも孤独であり、理解者は少数、帰属先はなく、ただ独立独歩の生を送ってきた。
基本型が浮草なのだろう。
だからもう少し旅をしようと思う。
いつかどこかで、良い死に場所を見付けられるかもしれないから。