世間並みの幸せなんて無理な話だった

いちばん暗い夜明け前にうたうブログ 走っても走っても私の夜が明けない(椎名林檎に非ず) ※別名義のツイッターアカウントはhttps://mobile.twitter.com/sigure_aki (主に短歌をつくっています)

たべること

 とにかく食べなくてはならない。空腹を覚えている、それも切実に。たくさん食べる必要はないが、体が「何かたりない」と叫んでいる。こういう場合はたいてい、鉄分が不足しているのを、私は経験的に知っている。

 

 ふつうに食事をして、適切に栄養を取ることは、なんて難しいんだろう。

 

 現代人の食生活、とくに都会で暮らす人々は、必要な栄養を必要なだけ摂取するのがかなり難しいのではないか。手軽に手に入る食べ物は、一時的に空腹を満たしてくれるが、なぜか「食べれば食べるほど何かの力が失われていく」ような気がする。

 

 自炊がいちばんなのはわかっている。でも、そんな時間がない。そんなぜいたくをする余裕がない。妙な話だが、そうなのだ。

 

 この奇妙な飢えと渇きをみたしてくれる商品が、お店が、なんらかの手立てがあれば私はそれに傾倒するだろう。

 

 なんでもない家庭料理が食べたい。飾り立てた、油と調味料が過剰な料理でなくていい。ひややっこと、ほうれん草のおひたし、お味噌汁、ごはん、サバの味噌煮なんかで良い。自分で作る気力がない。

 

 だれかごはんを作りに来てくれないかな、なんて妙なことを考える。

 

 いや、自分のためにご飯をつくる気力はないが、誰かのためになら料理をする力がある。

 

 だれか、ともだちの家に押しかけていって、ごはんをつくり、一緒に食べて、「ああおなかいっぱいになったね」といって、そのまま帰ってきたい。変な奴だと思われるだろうが、それでもいい。

 

 おいしいごはんをたべるには、どうすればいいのだろう。

 

 おとなになっても、わたしはそんなこともわからないのだ。