世間並みの幸せなんて無理な話だった

いちばん暗い夜明け前にうたうブログ 走っても走っても私の夜が明けない(椎名林檎に非ず) ※別名義のツイッターアカウントはhttps://mobile.twitter.com/sigure_aki (主に短歌をつくっています)

コンビニのおでんは非常食めいている

 

最近とみに仕事が忙しい。

自炊をする気力もなく、スーパーに寄るほどの気合もなくなる。

自然とコンビニ食が増えた。

力が出ないような気もするが、食べないよりはきっとマシだと自分に言い聞かせる。

 

弁当、パン、惣菜、クッキーバー、色々なものを試したが、この時期はレジ横のホットスナックの引力たるや筆舌に尽くしがたい。

からあげに肉まん、あんまんが私を呼ぶ。

太ってしまう、と思いつつ、たまには誘惑に負けてそれらを買う。

ジャンクフードときちんとした食事の中間のような味わいがたまらない。

 

大人なのに、いや大人だからこそできる贅沢かもしれない。

食事の選択権はいまやすべて私にある。

軽く済ませようが、たっぷりと手間暇かけた食事を摂ろうが、文句をつけられる筋合いはない。

なんて贅沢なのだろう。

 

そして、冷えるこの時期に私を魅惑してやまないのが、コンビニの「おでん」だ。

 

衛生的に敬遠する人が多いのは知っているし、添加物の懸念があるのも分かる。

だが人間、寒い時期に温かく湯気をたてるおでんの誘惑に、抵抗しきれるものだろうか、いや、ちょっと無理だろう。

(自分なりの基準があって、蓋つき、かつ店員さんが取り分けてくれる店舗でのみ購入するようにはしているが。)

 

私の立ち寄る店舗では、多種多様な人々がおでんを購入していく。

 

近所の高校に通っていると思しき女子高生に、トラックの運転手。

私のようなOLに、サラリーマン。

親子、カップルも、思い思いにおでんを購入していく。

 

深夜近くのコンビニで彼らを見ていると、おでんは「非常食めいているのではないか」と思う。

 

骨の髄まで冷える夜、コンビニの明かりに吸い寄せられ、あたたかい食べ物にありつく。

 

一杯のかけ蕎麦ではないが、

コンビニは寒さからの避難場所じみていて、

おでんは非常食めいている。

 

 誰も彼も緊急避難的に温かいものにありついている。

 

しんしんと冷える夜は、おでんがよく合う。